• home>
  • EQ>
  • EQ SIMMER STYLE 2XC

侮れないポテンシャルを持つ2 ミニカム・ライトセイル

マストを選ばず、安定性の高いフォイルを作り出す

 指定マストはNDMの460/25だが、ラフ長が463cmという数値であるため、NDMの460、430、RDMの460、430の4種のマストでセッティングすることができる。これは非常に便利な要素であることは間違いない。ほとんどのウインドサーファーは、この中の少なくとも1本を持っているはずだから、購入の際の選択肢に入りやすいことになる。
 2個のミニカムとタイトなスリーブによって作られるフォイルは、ラフ部分では浅めに見えるものの、パネルとバテンによって作り出されているパワーポイント付近のフォイルには十分な深さがあり、ラフセイルにカムを追加したタイプではなく、むしろレーシングセイルのリーディングエッジをコンパクト化したタイプと言えるだろう。NDMを使用した場合に、マストとカムとのフィッティングが非常に強く、平均的な2ミニカムセイルと比較すると、かなりリジットなフォイルを形成していることからも、パワーを生み出すラフ部分に、高い安定性を生み出そうとしていることが判る。
 NDM とRDM を比較すると、やはりNDM の方がラフ部分のフォイルはスムーズでリジット。マストとカムのフィッティングは隙がなく、かなり硬く安定したフォイルを作り出す。一方のRDMではバテンがマスト下に食い込んだ形状となり、その分だけ柔らかめのフォイルになる。しかしながら、RDMのセッティングでも、マストからのカムの浮きは少なく、特に上部のカムはほぼフィッティングしていると言ってもいいので、あまりマストの細さを感じさせない。
 適度なラフテンションを掛けるためのダウンホール数値は、RDMが僅かに5mm程度プラス。マストがベンドしやすいからといって極端に数値が変わることはないが、この僅かなプラスが必要であり、セイリングの安定にも繋がる。ちなみに、アウトホールテンションは適宜だが、RDM使用の場合には、風のパワーによって少しだけ膨らみを増すことになるため、NDMに比べて若干プラス気味にした方が高速時お安定性が高まる。


イージーハンドリングで軽快なプレーニング感

 タイトなマストスリーブとミニカムが作り出すフォイルでありながら、十分なパワーを発揮してくれるために走り出しはスムーズ。ワイドスリーブのレーシング系セイルがマストに引っ張られて走り出すようなイメージであるとすれば、このセイルは、まずはバックハンドの引き込みによってパワーを感じ取り、そのパワーがリーディングエッジに固定されたところで本格的なスピードに乗っていくことになる。バックハンドとは言っても、負担が掛かる意味ではなく、バックハンドの効率良い使い方によって初速を上げられるという意味なので、勘違いしないで欲しい。
 加速後にトップスピードに至るとセイルはスッと軽くなり、適正なアフターレイキと引き込みによって、とても安定性の高いバランスを感じさせる。フットエリアに十分な広さとフォイルの深さを作り出しているために、こうした安定性を作り出せているのだろう。
 レーシング系セイルまでのパワーやトップスピード性は感じさせないが、パワーに翻弄されず、ラフベアのコントロールも、タックもジャイブもセイルサイズを感じさせないハンドリング性。ミニカムによるローテイトがスムーズなため、タックやジャイブの際の、ローテイトにまるでストレスを感じることがない。決してコンパクトなタイプではないが、セイルサイズを感じさせないハンドリング性の高さは魅力。
 ちなみに、フットベルトのテンションを風域のよって調整するといい。アンダーパワー時にはさほど強く掛けなくてもいいが、ジャスト〜オーバー気味のコンディションではしっかりとテンションを掛けてやると、フットの安定性が高まると共にリーチの動きがしなやかさを増すので、スピードも安定性もより高くなる。

高いスピードを求めるならNDM を使う

 NDMを使用するとカムのフィッティングに高い安定性があるため、トップスピード時やオーバーパワー時にフォイルが崩れない安心感を得られる。反面、ややローテイトが固くはなるが、ワイドスリーブとラージカムとのコンビネーションに比べれば遙かに軽くローテイトする。このフォイルの安定性によってセイルの引き込みをキープすることが楽になるため、セイリングアングルを広く取ることができ、高速時のアップウインドに信頼がおける。更に、ダウンウインドなどのトップスピード時にもセイルがブレることがないため、同様に走りに集中できる。使用したマストはSC-8の460だが、軽さと硬さを併せ持っているため、レーシングセイルのテイストに近いフィーリングとなる。未使用ではあるが、430マストを使用してもマスト下部の硬さはさほど大きく変わらず、逆にトップはしなやかになるはずなので、スピードを求めつつも少ししなやかさが欲しい場合には、430マストの使用が勧められる。

ハンドリングのイージーさと手軽なプレーニングにはRDM

 NDMに対してRDMの使用は、一般的なイメージ通りに、「やや柔らかい印象」となる。2個のカムの内、上のカムはマストにしっかりとフィットした状態となり、下のカムがややマストから浮いたようになる。特に柔らかさを感じるのはセイル上部。手元のフォイルの安定性はさほど変わらないが、リーチの開きが変わる。ダウンテンションが不足すると若干下の方が開いてしまうので、ダウンテンションが大切。
 RDM使用のメリットは全体のしなやかさ。アンダーパワーでもセイルの反応が良く、海面が荒れていてもマストのしなやかさによる吸収力が高い。ボードとのコンビネーションにもよるが、平均的なフリーライドボードを使用して、トップスピードではなく気軽なプレーニングを求めるならばRDMの使用がお勧め。長さは460でも430でも使用感に大きな違いは感じられな
いので、所有しているマストの都合に合わせて選べばいい。また、RDMの方がスリーブへのマストの通しやすさや、タックやジャイブ時にマストの掴みやすさもある。自分の好みやセイリングスタイルにマッチしたマストをセレクトしたい。

 

PDFへ

有限会社 THE BLUE

 

テストライドにはNDMとRDMを使用した。左がRDMでのセッティング、右がNDMでのセッティング。フォイルの深さやしなやかさは変わるが、どちらで張ったしても、個性があるだけのこと。いずれの場合にも、性能に不満は出ない。


上はあまりテンションを掛けていない状態のフットのカーブ。下がテンションを強めた状態。ジャストやオーバー目、或いはトップスピードを求めるならばフットベルトのテンションはしっかりと掛けてやる。