12月25〜28日/静岡県御前崎ロングビーチ 写真・映像)池野谷健二 /K Ikenoya、文)霜山厚 / A Shimoyama ※大会の映像はもうしばらくお待ちください。
JPWA初の3種目大会、浅野則夫がスラロームとウェイブ(永松良章と同点)
で優勝し、フリースタイルは長嶺大が勝利
全日本プロ'09は、2009年度のラインキング上位者だけが参戦できる大会だ。スラロームベスト16、メンズウェイブベスト14、ウイメンズウェイブベスト4、そしてフリースタイルベスト8の選手が御前崎ロングビーチに集結し、トップレベルのパフォーマンスを見せる。大会3日と予備日1日を加えた4日間で3種目が行われた。
大会初日は風に恵まれず、2日目に最初に行われた競技はスラロームレースとフリースタイル。参加選手はスラローム14名、フリースタイルは7名。スラロームはビーチスタートからのフィギュアエイトのコースが設定され、スラロームヒートの合間にフリースタイルのヒートが組み込まれた。徐々に吹き上がってきた風のためにブレイクする波はほとんどない。とはいえロングビーチには常にうねりがあり、スラロームにもフリースタイルにも決してイージーな海面とは言えない。
そして始まったスラロームレース。2ヒートに分かれたセミフィアナルを戦い、トップ8の選手でファイナルを競う。セイルサイズは7.0㎡前後。圧倒的な速さと勝率を持ち、誰もが完全勝利を予想する浅野則夫選手が第1マークからトップに立ち、終始レースをリードする。後続を引き離しつつ実にリラックスした状態でレースを進める淡々とした様子には、余裕以外のものを感じさせない。全4レース、8ヒートを戦い、セミファイナル、ファイナルの全てのヒートでトップフィニッシュし、格の違いを見せつけた。
そんな中でキラリと光を放ったのは大坪大輔選手と駒井友彦選手。大坪選手は合志選手の元でトレーニングしている選手。駒井選手はウェイブとスラロームの2種目を戦う選手。共に、山田昭彦選手や鈴木智彦選手等に劣らないスピードでレースを進め、今後のスラロームシーンを騒がせてくれる選手になる可能性を見せてくれた。
スラロームヒートの合間に行われたフリースタイルは、各選手共に海面コンディションの難しさに戸惑っていたようだ。インサイドとアウトサイドの風速に差があり、フラット面を探し出すのが難しいコンディションだったため、繰り出すトリックの成功率が低い。トップ8の選手であっても、コンディションが難しくなるとなかなか高難度のワザを繰り出すことができない。各ヒートはベーシックなトリックの完成度の高さで勝敗が決まり、ウイナーズブラケットでトップに立ったのは長嶺大選手。そして圧巻だったのはルーザースヒートを立て続けに勝ち上がった鈴木健一選手。
ヒート数が少ないだけに、ほぼインターバル無しでヒートに向かい、長嶺選手とのファイナルへ。勝利のためには技術だけでなく体力も重要なファクターであることを知らしめた鈴木選手だったが、結果は長嶺選手の勝利。技のデパートとも言われる長嶺選手がウイナーズ、ルーザースのファイナルを制して優勝となった。
大会3日目はコンディション不良となり、ウェイブは予備日としていた最終日に持ち越された。朝方に東へ低気圧が抜け、徐々に西風が強くなってくるものの、ウェイブコンテストに必要な波がなかなか上がってこない。国内のトップ選手を集めての試合だけに、小波コンディションで無理に試合を開始する必要はないと池田良隆コンテストディレクターがウェイティングを続行させる。8時から待機していたコンテストも、最低限の波サイズになってきた頃には12時を回っていた。メンズクラスヒートの合間にウイメンズヒートが入るスケジュールでコンテストが始まった。
2ウェイブ、2ジャンプのピックアップとなっているため、フォワードループでベースのポイントを稼ぎ、より得点の高いプッシュループ、バックループを狙う選手がほとんど。セットはさほど多くはなく、ややインサイドがガスティになっているために波のセレクトも簡単ではなく、ロングライドもなかなな難しい。しかし、やはり
トップ選手だけのコンテストだけに、どのヒートも僅差の戦いになる。
メンズクラスのウイナーズブラケットのトップに立ったのは膝の怪我がやっと完治し、本来の能力を久しぶりに発揮した永松良章選手が、初のウイナーズトップを飾った。ウイメンズは順当にMOTOKOが立った。ルーザースブラケットを消化したウイメンズクラスは、圧倒的と言っていいほどにMOTOKO選手のライディングが勝り、誰もの予想通りにMOTOKO選手が勝利を収める。
メンズクラスの見所はルーザースに回った浅野選手の怒濤の追い上げだった。的確にバックループとプッシュループをメイクし、サイズのある波をアグレッシブに刻む。安定したライディングは次々とトップ選手達を打ち負かし、ファイナルで待つ永松選手との対戦に持ち込んだ。このファイナルは見ている者を感動させるほどの戦いだった。完成度の高いジャンプ、スピードとキレのあるライディングを繰り広げる2人。ほとんどポイントに差が付かないほどの戦いを制したのは浅野選手だった。
そして1勝1敗となった2人はグランドファイナルへと進む。しかし日没間近となり、風はオフショアに振れ、インサイドはかなりガスティになっていた。ヒートはスタートしたものの、ファイナルを戦う2人にはふさわしくないコンディションとなってしまい、結局ヒートはキャンセル。永松選手、浅野選手の2人が同ポイントの優勝となった。
▶▶▶リザルトはこちら この大会の結果から、各種目の2009年度ランキングが決定。浅野則夫選手が初めて、かつ念願のスラロームとウェイブの2種目を制し、フリースタイルは長嶺大選手が優勝となった。
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