どんなスポーツでも視線の重要性が強調されることが多い。視線から得られる情報量の豊富さ、動作の先行、バランス。様々な効果が「視線を重視する」ことで得られる。色々な不安があるとついつい手元や足元を見て確認しようとしてしまうものだが、これは逆効果。全てを失うことになりかねない。目をつぶり、セイルを返しているところやジャイブの足の動きを想像してみて欲しい。実際に手足を動かしてみればもっとよく判る。ブームやマスト、ボードがあるかどうかを確認する必要があるだろうか。見なくても足元にボードはあり、手元にブームやマストのイメージがあるはずだ。「絶対に手元や足元は見ない」という意識を強く持ってジャイブの練習に取り組んでみよう。必ずスムーズな動作が生まれてくる。
セイル返しで手元を見ればスピードはほぼなくなる
ステップとセイルを返していタイミングのシークエンスだが、とにかくどこを見ているのかに注目して欲しい。手元も足元も決して見ていない。仮に見たとしても、ホンの僅かな時間、コンマ数秒間見たかどうかという程度。顔の向きは変えず、ターン後の進行方向に視線を向けている。もしもセイルを返す際にマストに視線が落ちていると、タイミングを失い、バランスを失い、スピードを失うことになる。先行動作はできず、体の使い方は小さくなり、ほぼ全てのことがダメになる。それほどに視線は重要。前を向いて手元を見ないようにすれば、セイルをスムーズに返せるようになり、体のバランスが良くなり、次の走りに対処できる。とにかく手元を見ない。これは意識で直すしか手がない。
シンプルで贅沢なマルチトレーニング
単純に広い海でジャイブしている時はマークブイがあったり、ハッキリとした目標物があるわけではないから、どこを見ているかの答えは「漠然と前方を見ている」となるが、それでも進行方向に顔を向けていることが多くのメリットを生む。ジャイブに入る直前にはターンしていく海面の状況を判断し、レイルを踏み込み始めた頃からはセイル越しにターンしていく先の海面を見ており、更に先に視線を向けていくことでステップとセイル返しのタイミングを図ることになる。実際のステップやセイル返しのタイミングでは、次に走っていく先を見ているからバランスやスピードのロスが少なくなる。90%以上の時間を海面や風を見ることに費やしたい。それがバランスの向上に繋がる。