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  • テクニック記事『ジャイブを止まらせない3つのコツ』
レイルジャイブ後半の失速をできる限り少なく抑えることは永遠の課題とも言えるテーマだ。プロ選手であってもそれは変わらない。ただ、そのスピードの次元が異なるだけのこと。失速の原因は様々あるが、最も多いのはノーズが持ち上がってしまい、ボトムが水を押し出すようなポジションとなってブレーキを掛けてしまうことだ。だから、いかにノーズを上げないようにするかが課題になるわけだが、今回は少々ノーズが上がってしまったとしても、強引に抑え込んで失速を和らげることをテーマにしてみよう。

 ノースが上がってしまう主な原因は、「マストプレッシャーの不足がノーズを上げる」「レイルの踏み込み過ぎがノーズを上げる」「セイルパワーの不足がノーズを上げる」「後傾姿勢がノーズを上げる」。それらをひとつひとつクリアしていくにはかなりの時間が必要となるかも知れない。だから、ここではシンプルに「強引でもいいからノーズを抑えにいく」ことを考えていこう。答えはステップにある。ジャイブでは必ずスタンスを入れ替えるわけだが、入れ替え後の前足のポジションに全てを注ぎ込む。大きなステップを意識して前足でノーズを踏みつけていく意識を強める。かなり大胆なステップに感じられることだろうが、それが当たり前の動作。足元に目を向け、そこに集中してノーズを踏みつけにいこう。


ストラップから抜いた前足がステップを決める

大きくステップしていくためのポイントは、ジャイブに入った時の前足をストラップから抜い後にどこに置いているかにある。この場合は右足の位置。せめて土踏まずがボードのセンターライン上にあれば良し。できればカカトがレイル寄りになればもっといい。ボードバランスが安定するから、足元に安心感が出てステップを大きくできる。ステップ後の前足をジョイント近くに置くためには、初めの一歩がとても大切。ノーズを踏みつけにいくための呼び動作とも言えるこの足の使い方が悪いとどうあがいてもスピードロスは逃れられない。


前に大きくステップしてノーズを踏む


 ステップ後の前足の位置に注目。この場合にはジョイントのすぐ後方までは届かせていないが、それでもかなり前方に足を置いているのがわかるだろう。さほどノーズが上がってこなかったために少々後ろ気味に置かれているのだが、その代わりに加重がある。ステップ後の前足に加重してノーズを抑え込み、セイルを返した直後には後ろ足に加重して体勢を保つ。ステップを大きくしてノーズを踏み込みつつ、更に加重できればもっともっとノーズを抑え込むことができるようになる。広く大きく力強くステップすることが持ち上がってしまったノーズを踏みつけて下に向かせることができるし、結果的にボードスピードのロスを軽減することに繋がる。

 
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セイルの返しが遅れ気味になると、ある程度減速が始まってからセイルを返すことになるため、僅かではあってもセイルパワーをロスしている時間が与える影響が大きくなっていく。そこで今回は横さばきにこだわってみよう。体の脇へマストを持ってくるようにセイルを返していく「横さばき」は、スピードが保てている状態や早めのタイミングでのセイル返しに適しているから、このセイルの返し方を強く意識することで強制的に返しのタイミングを早めていくことになる。セイルを返していくタイミングはランニング直後。ボードが風下に向いている方がスピードを維持しやすいし、まだまだ失速が始まっていないタイミングになるからだ。早めに横でセイルをさばく。これがうまくできれば、スピードロスはかなり軽減されているはずだ。


内傾を保ったままセイルを返すフォームをイメージする

セイルを返す時には、どうしてもセイルの重量、遠心力に振られる。それに対処するために反対側に重心を残す意識を強めると、ターン内側のレイルに加重し続ける結果となる。もう一点はマストが移動する軌跡。マストが体の横にある状態から、最短距離でノーズ方向に移動する。マスト手の操作によるこのマストの動かし方がセイルをコンパクトに返すためのツボだ。

体の横から前方へマストを引き抜く

マストの移動距離が大きく大胆なことが判るだろうか。注目すべきは体のバランスに変化がないところ。今回のテーマのひとつであるステップの大きさがこれを作り上げている。ジョイント付近まで大きく踏み出したことによってスタンスが広くなり、ボード上でのバランスが良く、踏ん張りが効く体勢となっている。そのため、少々大げさにマストを振り回していても体勢に乱れがない。しかも、マストの移動軌跡は最短。セイルを返す際のセイル手による突き出しとマスト手の脇の締め。この2つが生み出すセイルの回転力を利用してマストを引き付ければ、決して重みを感じないセイル返しができる。

 
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リラックスするためのハーネスワーク

どんなスポーツでも視線の重要性が強調されることが多い。視線から得られる情報量の豊富さ、動作の先行、バランス。様々な効果が「視線を重視する」ことで得られる。色々な不安があるとついつい手元や足元を見て確認しようとしてしまうものだが、これは逆効果。全てを失うことになりかねない。目をつぶり、セイルを返しているところやジャイブの足の動きを想像してみて欲しい。実際に手足を動かしてみればもっとよく判る。ブームやマスト、ボードがあるかどうかを確認する必要があるだろうか。見なくても足元にボードはあり、手元にブームやマストのイメージがあるはずだ。「絶対に手元や足元は見ない」という意識を強く持ってジャイブの練習に取り組んでみよう。必ずスムーズな動作が生まれてくる。


セイル返しで手元を見ればスピードはほぼなくなる

ステップとセイルを返していタイミングのシークエンスだが、とにかくどこを見ているのかに注目して欲しい。手元も足元も決して見ていない。仮に見たとしても、ホンの僅かな時間、コンマ数秒間見たかどうかという程度。顔の向きは変えず、ターン後の進行方向に視線を向けている。もしもセイルを返す際にマストに視線が落ちていると、タイミングを失い、バランスを失い、スピードを失うことになる。先行動作はできず、体の使い方は小さくなり、ほぼ全てのことがダメになる。それほどに視線は重要。前を向いて手元を見ないようにすれば、セイルをスムーズに返せるようになり、体のバランスが良くなり、次の走りに対処できる。とにかく手元を見ない。これは意識で直すしか手がない。

シンプルで贅沢なマルチトレーニング

単純に広い海でジャイブしている時はマークブイがあったり、ハッキリとした目標物があるわけではないから、どこを見ているかの答えは「漠然と前方を見ている」となるが、それでも進行方向に顔を向けていることが多くのメリットを生む。ジャイブに入る直前にはターンしていく海面の状況を判断し、レイルを踏み込み始めた頃からはセイル越しにターンしていく先の海面を見ており、更に先に視線を向けていくことでステップとセイル返しのタイミングを図ることになる。実際のステップやセイル返しのタイミングでは、次に走っていく先を見ているからバランスやスピードのロスが少なくなる。90%以上の時間を海面や風を見ることに費やしたい。それがバランスの向上に繋がる。

 
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