ハーネスラインのセッティングが「なかなか決まらない」と口にする人は多い。でも、それが当たり前であり、常に同じポジションでいけるはずがない。エキスパートでないのなら、セイルのセッティングも、セイリングするコンディションも、体調さえもいつも違うのだから、毎回同じポジションでOKという方がおかしいとさえ言えるだろう。ベテラン達はどうしているのだろうか。答えは「大体の位置で、微調整しながら乗っている」。もちろん、コンディションに応じたベストポジションはある。しかし、1日の中でも風速に変化があったり、引き込み続けるのに疲れたら、どうしても僅かなポジションのズレは生じてくる。これはどうにもならないこと。とにかく、両腕が疲れない位置を探すこと。できれば海上で、少しずつ調整してみることが大切。
片手を離せば微妙なチェック
プレーニング中のマスト手は伸び気味、セイル手の肘はやや曲がり気味。これが自然で楽なプレーニングフォームだ。ハーネスをオンにしたまま、マスト手或いはセイル手を離してみよう。写真のように大きく離さなくてもいい。グリップを緩める程度でも構わない。片手になった時に、残された腕を違う形にしなければならないとしたら、それはラインの位置がズレている証し。また、残された腕に負担がかかるかどうかでも判断する。マスト手が疲れるなら僅かにラインを前に。セイル手が疲れるなら僅かに後方へ。これが基本。セイルを引き込めるかどうかは後回しでいい。両手、両腕がブームを引いたり押したりするコントロールをできるだけしないで乗り続けられる位置を探す。
シンプルで贅沢なマルチトレーニング
少々腕が疲れる練習をしてみよう。やることはいたってシンプル。ハーネスラインを掛けたり外したり。これを繰り返してみるだけ。反復する動作のリズムはゆったりしていた方がいい。掛ける動作と外す動作は素早く行い、掛けている時間と外している時間をそれぞれ長めにとればいい。この動作の繰り返しで判ることは、掛け外しのしにくいライン位置になっていないかどうか、掛け外ししにくい長さになっていないかどうか、ブームの握り位置は合っているかどうか、ハーネスのオンとオフの状態でフォームに違いはないかなど。ハーネスラインに頼る前にまず楽な握り位置を探す。それがラインポジションを決めるためのポイントになるということ。