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  • 特集『2010PWA韓国:日本人選手19名参加。浅野選手ルーザースファイナル走る』

バックグランド

今年で4回目となる韓国ウルサンで行われるPWAワールドカップ・スラローム。
過去3回、なかなか世界のトップに肉薄できないアジア勢をなんとか盛り上げたい。
そんな主催者側の強い希望が叶い、今年日本から浅野則夫選手が参加。
主催者側は浅野選手を参加させるため、PWAに登録されていないメーカーのボードでも、
プロダクションであれば参戦できるという特別ルールをこの大会で採用させることに成功した。 それが昨年のこと。これはまさに浅野選手に対する挑戦状だった。
そして満を持して今年、浅野選手が参戦。期待に応える世界に通用する走りを見せてくれたのだった。

大会2日目 いよいよ今シーズンPWAスラローム開始

メンズは8ヒートに分かれ、8名中4名上がり。どのヒートにも世界トップ中のトップがいる。どのヒートも昨年ラインキング16位までの選手が2名ずつ、加えてPWA常連が2名、さらに昨年度コンスタントにPWAに参加していなかったダン・エリスやボイテックといった有名選手が入っているヒートもある。日本人選手の最初の高くブ厚い壁は1回戦突破だ。しかし過去数回行われた韓国でのワールドカップに比べて、第1ラウンドでは浅野、酒井、山田、生駒(以下敬称略)が1回戦を突破し、見ている分には世界との差を縮じめているかのようにさえ感じさせた。でも走っている選手達はPWAのノールール的なマークでの突っ込みやそのスピードの速さに驚かされていたらしい。

続く第2ラウンドも岩崎、コング、浅野が、第3ラウンドでは山田、浅野が2回戦に進んだ。3ラウンド消化するまでのおよそ3時間。いつも感じることだが、PWAのレースディレクターはじめ、スタッフはレース運営のプロだ。もちろん参加選手のレベルが高いこともあるが、マークの打変えや新しいヒート表の作成で時間をとることはほとんどない。だから一度始まればどんどんヒートが進行する。

この日の3ラウンドでは2回戦を突破できた日本人選手は残念ながらいなかった。しかし、夕食のとき、みんなに感想を聞いて回ると誰もが明らかに多くのものを感じ取り、これから生かすべきもの、修正すべきものが明らかになっているようだった。特に浅野選手一言め“悔しい”が印象に残った。

浅野選手と香村選手の第1ラウンド第1ヒートの映像はこちら

山田・生駒選手の第1ラウンド2回戦第10ヒート

コング選手の第2ラウンド第5ヒートの映像はこちら

第1ラウンドはアントワン、第2ラウンドはビヨン、第3ラウンドはフィニアンとなり、アントワンがリードしているものの、2位以下は混戦となった。レディスは18歳のフランス人アリスが快走を見せ、トップとなった。



大会5日目 レース再開

レース初日はワールドカッパー達もピリピリとした様子で、特に今年スポンサーが変わった選手は少しでもいいリザルトを残そうと必死の雰囲気が感じられた。アントワンでさえ、マストを変えたりフィンを削ったりとチューニングする姿が見られた。チューニングが遅れてしまったのか、まとまった成績を残している選手は少なく(すべてファイナルを走ったのはアントワンだけ)、またこの日は風が弱く、この先多くカットレースが期待できそうにないので、スタートで攻める選手が多く、リコールも多かった。 そんななかで安定して、というより回数を重ねるごとに順位を上げていったのが浅野選手。ジャイブでの立ち上がりが早く、PWAの戦い方をあっという間に思い出したかように見ている者に感じさせた。同じラウンドの2回戦はフィニアン、ベン、マイカに次いでフィニッシュし、セミファイナルへと駒を進めた。

浅野選手の第4ラウンドルーザースファイナルの映像映像はこちら

一方でインサイドはミニマム7ノットに近いコンディションでのヒートに苦しむ日本人選手もいた。昨年も参加していた選手達はその経験をもとに道具をチョイスして持ってきていた。しかし去年までならば行われなかった風速で戦わなければならず、手持ちの道具は小さく今まで重ねてきた練習の成果をなかなか発揮できない。同じコンディションを走っていても100kg級の選手達は常に速く、PWA常連達はジャイブの失速も少ない。苦しいラウンドとなった。 この日2回戦に進んだ生駒選手と坪井選手の走りが印象に残った。ふたりとも伸び代を感じさるヒート運びで、特に生駒選手はスタートから第1マークまで、ワールドカッパー達と渡り合っていた。

レディス第3ラウンドの映像はこちら

この日のトップは再びアントワン。2位にスティーブ・アレンが入り、4ラウンド成立したのでワンカットとなった。まだまだまとまった順位を取っている選手は多くはなく、今後いくつのレースが成立するか、皆が風を期待していた。

大会6日目。浅野選手最高順位10位

朝から晴れ、サーマルで風が上がってきそうな雰囲気があったが、この日は今ひとつ風が安定せず。キャンセルが多く、またマークの打ち変えが頻繁に行われた。翌日の予報が良くないので、これまでまとまったリザルトを残せていない多くの選手たちに焦りが出たようだ。スタートでのせめぎ合いがヒートアップし、特に2回戦からルーザースまではリコールが数多く出た。 前日に引き続き、ヒートを重ねるごとに順位が上がる浅野。この日行われた2ラウンドのうち第6ラウンドでは、1回戦でトップフィニッシュを果たし、ついにルーザースファイナルでは2位となった。このルーザースファイナルでは度重なるリコールがあり、マイカやベンなどが戦線離脱していった。

浅野選手1回戦トップフィニッシュの映像はこちら

このほかレディスの3名、ブン子と古澤、依田の健闘が光った。それぞれブン子と古澤は今大会自己最高の4位を取り、スタートから第1マークまでをがんばると話していた与田も世界のトップに負けないスピードで第1マークまで快走を見せた。

結局メンズは第6ラウンドまで成立して安定していたのはアントワンのみ。彼だけが全てのラウンドでファイナルを走り、今年も王者健在をアピールした。レディスも若手のアリスやサラキタ(共に10代)が伸びてきてはいるものの、やはり安定しているのはカレンだ。予想通りの結果となったが、今年初戦となったこの韓国での大会では、どうもワールドカッパー達のチューニングが遅れているのでは、という印象が残った。そのためまとまった成績を残せる選手が少なかったのだ。この先彼らのチューニングが進めば、日本人選手たちはますます苦戦を強いられることにはなるだろうが、できればこの先も浅野選手はじめ日本選手たちの舞台を世界に移した戦いを見ていきたいと感じさせる、そんな大会だった。参加した日本人選手全員が多くの課題を持ち帰り、この先の練習に、また舞台をジャパンサーキットに移して生かしていくことを大いに期待する。

小ネタ1

ロビー・スイフト スラロームをやめる???

ノーティスボードに貼られたロビー・スイフトの売りたしリスト。あまりに数が多いのでスラロームをやめるのでは?との心配があがった。ロビーに聞いたところ“古い道具を売っているだけだよスラロームは続けるよ”とのことで一安心。フィンなどえらく安いものありで、日本人選手が多く買っていた。

小ネタ2

ジミーの好調の要因

今回総合3位となったジミー・ディアズ。非常に調子が良さそうだが、これはプライベートが充実しているため?彼女はトルコの選手チャラ。ミストルコだと噂だ。

小ネタ3

PWAのアイドル、サラキタ

とにかく可愛い。シカのようにいつもぴょんぴょん跳ねている感じ。そんな彼女、実はコングと同じくらい身長が高い。写真はマークミスに落ち込んでいるところ。

小ネタ3

シリル実は負傷でのトップフィニッシュ

最後のラウンドとなった第6ラウンドではシリル・ムッシルマーニがトップだった。しかし彼はこのヒートの前に海上にあるロープに引っかかり飛ばされたときにマストで左の胸を強打。肋骨を骨折しているかもという。そんな状態で、一番大きなセイルを使えないでこのヒートに臨んだ。