2009年度のJPWAレースランキングとウェイブランキングのトップに立つ浅野則夫。誰もが認める王者のテクニックを解析。
※ 2007年制作のため、浅野プロの所属ブランドが現在と異なっているのでご了承ください。(現在マウイセイル)

レースで勝つためのフォームとジャイブを身に付ける!

 速く走る為に道具にこだわるセイラーが多いが、それ以上に大切な事がある。それは速く走る為のセイリングフォーム。この乗り方をマスターするとスラロームに限らずウインドサーフィンのあらゆるカテゴリーのボードで速く走る事ができる。速く走るフォームを理解しマスターするとチューニングもすぐに出す事ができ、自分の乗り方にセイルやボードを合わせる事によって最速の道具となる。

 速く走る事はシンプルだと言う。「セイルを立てて、引き込む」これだけでいい。それはウインドサーフィンを
始めた頃から今でも変わらず、乗るたびにそのことを意識して「1ミリでもセルを立てて、1ミリでも引き込む」を続けている。マスト手は指先をブームに引っ掛けているだけで、できるだけマストを立てようとしている。セイル手の肘は少し曲げられ、ブームをしっかり引き込んでいる。ハーネスラインの位置はブームエンド側にあり、セイル手のすぐ近くに設定している。これはセイルを立てて引き込むフォームを取りやすく、またセイルパワーが安定するためボードへのマスト加重も安定する。

 皆さんは自分のフォームを見た事があるだろうか?自分のイメージしているフォームと実際は大幅に異なっている事が多い。そこで自分のフォームを仲間に撮ってもらって浅野プロのフォームと比べて欲しい。この写真を見ると肩の位置、ブームの高さ、ハーネスラインの角度など、どれをとっても無駄のないセイリングフォームだというのが分かる。速く走る為には速いセイラーの乗り方を良く研究して「真似る」ことからスタートして欲しい。

 レースで勝つ為のジャイブは、カービングを楽しむジャイブとは違う。後ろから抜かれないように、そして前の選手を抜かなければならない。浅野プロに言わせると「スピードを落とさないで後半で伸びるジャイブ」これを意識して日頃から練習しているとのこと。前半はゆっくりレイルを入れ、後半で踏み込みを強めて伸びるジャイブ。それは風が弱くて止まったとしても、前の選手の一艇身か2艇身前に出ることによって有利になるからだ。また、深くレイルを入れるジャイブをマスターすると、荒れた海面でも変わりなくジャイブが可能で、レイルを入れていると沈の確率が減る。

 注目すべきところは膝の向きとかかとの使い方。通常のセイラーはこの時点で膝はノーズ側を向き、かかとが上がっていないことが多い。そのことでレイルを上手く使えず、ノーズが上がったり減速してしまう。また、お尻の位置がかかとより後ろにあったり、膝を曲げる為にただ座り込む姿勢のセイラーも多い。

 このジャイブは急激なブローでオーバーパワーでのジャイブとなったシーン。マスト手が逆手のままで、セイル手もしっかりブームを握っている。レイルを長く深く入れ、体は内傾し、そのパワーに負けないようにバランスを取っているのが分かる。そしてセイルのリーチは大きく開きそのパワーを逃がそうとしているが、それ以上に浅野プロがそのパワーにも負けない肘の使い方、膝の使い方などをしているので参考にして欲しい。