フォアレイキからフルレイルのターンに入るボトムターンにこだわり続ける松井重樹のフルドライブのライディングスタイルを紹介。
※ 2006年2月号No.42/DVD Magazine Vol.5収録

フルドライブボトムターンのために

下らせて、まっすぐ前に飛びマストを出す。これがフラカのやり方だ

 「ボトムターンはやはりスピードですね。いかに高いスピードでターンに入り、いかにターン中もスピードを保つか最も意識しています。そのために波の力をフルに使って加速させることや、きっちり波のボトムまで降りて、面が出来るだけきれいなところでスピードロスが少ないターンに入ることが大切で、そのために、どの波のどこを攻めていくかという波の選び方やポジショニングというのもとても重視しています。高いスピードのために、風の力だけではなく、波をフルに利用するということが、とても重要なことだと思います。普通の人はジャイブで練習することも有効ですね。波の背から波を追い越しながら乗せて加速させてジャイブする。波で加速しますから普段より一段高いスピードのジャイブになります。僕も練習でよくやりました。ただ漠然とジャイブしないで、また波に乗ったら何でもマニューバーを刻もうとしないで、波が小さい時とか、良くない時に、こうして速いスピードでのターン感覚を養っていくんです」

 「最初の踏み込みで7割は決まってしまいますね、僕の場合は。ここの踏み込みがうまく行けば、後はたいていうまくいくんです。逆に後半はあまり意識していない」
 「そして意識していることはメリハリですね。波が大きい時やスピードがあれば、セイルも含めて体全体で、逆に風が弱かったりは脚力を使って、状況に合わせながらメリハリを利かせて踏み込んでいくようにしています。こうするとターンも加速していくし、後半の失速も少ない。リップアクションをはじめ、マニューバー全体の切れもでてきますから」

 「スピードを付けることや、メリハリをつけることとも関係しますが、やっぱり思い切りよく突っ込んでいくことを、恐れてはダメですね。僕もフィンが抜けるかもしれないなんて考えていたらうまく出来ませんから、冷静な中にも攻めていく気持ちは持つようにしています」
 「なかなかボトムターンのスピードが上がらない人は、どうしてもどこか怖じ気づいている気持ちがあると思うんですよ。それはジャイブでも同じではないでしょうか。ジャイブではスピードだけですが、ボトムターンになると、波に乗ることによって急激なスピードアップや、何よりも波があるわけで、サイズが大きくなれば、それだけで恐くなったり、身も心も固くなったりするものです。最初は仕方がないとは思いますが、ある程度慣れてくるまでは、思い切りの良さや突っ込んでいく気持ちを、特に忘れずにいてほしい」