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  • up wind lesson 7 実践レースに出場する前に:練習+ 知識編
「上り」が上手くなってくると、グッと行動範囲が広がると共に、なんとなく誰かと競ってみたくもなるもの。
競争はスピードを楽しみのひとつとするウインドサーフィンの姿だし、そこに向かうのはごく自然なこと。
そうなると本番のレースに出てみるようということになるワケだが、
何の知識も経験もなく参加してみても、簡単には結果はついてこない。
出てみたらあまりにもひどい成績だったとなれば、レースが嫌いになりかねない。
そんなことではつまらないから、基本の練習方法と最低限のレースの知識を勉強していこう。

上りを競うための練習方法

3~5 人程度での練習が効果的

 TACK-1のイラストはとてもベーシックな練習方法を表したもの。「上り」を練習するための基本と言っていいだろう。
まず、走り出しのAの段階で、風に対して横一線で走り始める。一緒に走る人数は3~5人程度が妥当。少なすぎると比較対象が少なすぎて優劣の判断がしにくくなってしまい、多すぎると焦点がぼやけてしまいやすい。複数人が集まって走れば、必ずBのように差が付いてくる。横一線のままずっと上っていくことは考えられない。そして大切なのがCの段階。まず、先行している人がアクションを起こしてタックに入る。その時、後方から走っている人達は、タックの動作が見えたと同時にタックに入る。ここがとても大切。多少のズレは生じるだろうか、ほぼ同じタイミングでタックすること。ここにタイムラグを作ってしまうと、タックを終えた時には大きく引き離されてしまいかねない。ほぼ、常に同じ向きで走っていくことによって、他艇との技術差が見えてくるし、追いつこうとすることでトレーニングになる。この繰り返しを続けて風上へ上っていくこの練習は、基本中の基本。微風時であれば、リーダー的な人が声を掛けながらタックを繰り返していくこともできるが、風が強ければ声は届きはしない。
 周囲の艇をずっと意識していなければならないこともとてもいいトレーニングになる。

 
     

ゲートスタートというスタート方法

 横一線に並んでスタートするだけでなく、是非取り入れてもらいたいのが「ゲートスタート」。
通常はスタボータックでスタートするのが一般的だから、ここではスタボーでのスタートをイメージしてみよう。大まかに説明すると、ポートで上っていく艇が通過した航跡がスタートラインになる。
 イラストの1~4のように、風に対して横並びになってスタートしようとしているa、b、cの位置関係は、ポート艇の後方をかすめるようにスタートすれば、スタートラインを越えても変わっていない。ポート艇がクローズのラインで走っていれば、全てのスタボー艇は平等な位置にいることになる。
 綺麗にスタートするには慣れが必要だが、マークブイがなくてもスタートできるので覚えておきたい方法だ。

 
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上りを競うための練習方法

同時タック後のミートがポイント

 異なるタックで上ってゆき、ある程度のところで同時にタックしていく練習方法がある。これは、それぞれの技量を見定めることになると同時に、非常に大切なこと、「風を見る目」を養っていくことにもなる。このトレーニングは2人で行うのがいい。それもできるだけ同等の技量の方がトレーニングになる。複数の人数がいると焦点がぼやけて、明確な答えが出ずらくなってしまうからだ。
 まずスタボーとポートに分かれてスタートしていこう(A)。初めからどちらがタックをするかを決めておいてもいいし、相手の動きを見ながらタックに入るのでもいい。ほぼ同時のタイミングでタックし再び上っていく。すると必ずミートするワケだが(B)、このミーティング時にどちらが先行しているのかが第1のポイント。このイラストではスタボーでスタートしたaの艇がリード。2人の技量がほぼ同等なら、左海面の方が風が良かったのか、と仮定できる。そして再び両サイドに分かれて上っていき、2回目のタック(C)もほぼ同時に行い、2度目のミート(D)。もしここでリードがbに変わっていたら、完全に左海面が有利だったことが答えとして出てくる。

風をしっかり見ながら上ること

 もしも、僅かであっても片方の技量が上だった場合は風の有利不利に関わらずに先行しているかも知れない。2度目のミート(D)でもaがリードしていたら、風の差だけではなく、技量の差があると考えてもいいだろう。その際には、再度スタートから始める時に、スタボーとポートを交代してみる。それでも更に先行されてしまう場合は、その距離の差が開くのか縮むのかを注意しておこう。
 左右の海面がほぼ均等に風が吹いていることは、むしろ希と言っていい。海面の波や潮の流れなども異なる。このことをベースにしておくと、同等の技量を持ったセイラー同士がイラストのように上っていった場合、必ずどちらかが先行することになるのは理解できるだろう。大切なのは必ず風を強く意識して走ること。風をしっかりと見ながら走り、2人で走った結果を合わせながら、経験値を増やしていくことがとても大事だ。

このトレーニングは、相手と風をしっかり見ながら行うことがとても大切。好き勝手に上っていくわけではなく、相手とタイミングを合わせてこそ意味のあるものになるからだ。そして、風を判断する能力を高めることが目的のひとつだから、必ずしっかりと風を見る。風を見ながら上り、相手との有利不利を判断する経験が必ず本番のレース、複数人のレースに活かされてくる。風上に目標物がなくてもいい。きちんと真風上に上っていくことを意識して行えばいい。また、どちらかが大幅にリードを広げてしまった場合には、再度スタート地点に戻り、スタートポジションを反対にして再スタートしよう。この反復がとてもいいトレーニングになる。

 
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上りを競うための練習方法

「ソーセージ」が基本的なコース

 アップウインドのレースによく採用されるのは、俗に「ソーセージ」と呼ばれるコース。単純に風上と風下の往復で競われるで、正式には「風上-風下コース」と言う。イラスト左がそのベースとなるコースで、スタートとフィニッシュが分かれており、上りコースでフィニッシュする形となっている。大会毎にコースのアレンジは自由であり、最も身近なのはイラスト右のコースになる。スタートラインのアウターマークと風下マークが兼用となり、フィニッシュはアビームや下りのレグとなる。もうひとつよく使われるコースが右下のイラストのコース図。「スクエア」と呼ばれることも多いが、正式には「トラペゾイド・コース」と言う。上りと下りに加えて、アビームやクォーターのレグが入る。このコースにも多くの変形があり、レイアウトは様々と言っていいかもしれない。余談ではあるが、下にスラロームの代表的なコースも示しておいた。いずれのコースもどこかで経験することになる可能性が高いので、このようなコースをイメージして練習しておくことが大切だ。

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上りを競うための練習方法

覚えにくくても覚えるしかない

 レースではフラッグを使用した信号を発することによって様々な指示を選手達に与える。離れていて音声が届かなくても、掲揚されたフラッグを見れば、その通告を理解することができる。しかし、海上で使われるフラッグの種類やそれぞれが持つ意味を全て把握することは簡単ではないので、ここでは使われる頻度の高いものを取り上げていこう。
 フラッグが使用される場所とケースは、陸上に設置された大会の本部である陸上本部、レース運営の中心となる海上本部、そしてマーク船などの船舶。レースの進行状況に応じて、必要な場所で必要な信号が出される。ほとんどの場合にホーン(音響)を伴って掲揚されるので、注意を払っておくべきだ。
 以下に、よく使われるフラッグが「単独で掲揚される」場合の意味と、「スタートのシークエンスに使用されるフラッグ」、「中止や延期などのフラッグ」などについて説明していこう。但し、ここで例に挙げる信号は、各大会の帆走指示書などによって異なる信号として使用される場合もあるので注意してほしい。

■レースでよく使われるフラッグ
 右上部の8枚と最下部の2枚のフラッグが大会でよく使われる。他にもフラッグはたくさんあるが、ひとまずこの10枚のフラッグは覚えておこう。Z 旗、L 旗、N 旗、X 旗、回答旗、第1代表旗、黒色旗、S旗、クラス旗、P旗の10枚。それぞれ個別に意味を持つが、大会によっては、異なる意味で使われることもあるので、帆走指示書やスキッパーズミーティングでしっかりと確認しておきたい。

■回答旗やN旗とH旗、A旗の組み合わせ
 延期と中止の信号であり、更にその後の指示を出しているのがこの4パターン。

■スタートシークエンス
 アップウインドレースのスタートは、下表の通りに、予告信号(5分前)、準備信号(4分前)、1分(1分前)、スタート(0分)の4段階の信号で行われることが多い。クラス旗は代替えのフラッグが使用されるケースも多い。音響信号が聞こえない、不発であってもフラッグによる信号が優先される。タイマーや腕時計などでスタート時間を合わせなければならないから、このシークエンスはしっかり覚えておこう。